江戸幕府初代将軍、徳川家康公をお祀りする最初の神社「久能山東照宮」がある日本平。夕刻。太陽の日差しはまだ強く、あたりを囲む森林の緑は眩しく照らされ、地面に濃い影を落としていた。真っ青な空の下、目の前に広がる瑞々しい植生と、その合間に点在する鳥のさえずりに気分が高揚する。樹の命は人生100年とうそぶく人の寿命をはるかに超え、森は人間が排出する二酸化炭素を吸収し育つ。山を下りれば、脱炭素社会実現の掛け声がかまびすしいが、日本平の森は時が止まったように静まり返っていた。