1階と2階には、それぞれ開放的なLDKがある。更に、客人をもてなすために創られた茶室。現代の住空間に寄り添う茶室は、使い手の様々な想いも受け止めてくるようだ。客人をもてなす心を受け継ぎつつ、新たな解釈や発想を加えていく茶室は、日常では味わえない豊かな気付きを与えてくれるだろう。仕上がりの模様がひとつとして同じでないように、繕いは一人ひとり異なる時間や物語をもたらしてくれる。京都の職人がつくり上げた唯一無二の和室は想わず息を吞むほどに美しい。

伊豆の西海岸。波風による浸食によって独特の形になった岩の間、真っ赤な夕陽が沈みはじめる。息を呑む美しさ。黄昏時から徐々に濃い青に染まっていく空を眺める。そこでのその時間は、これ以上ない静寂が漂う唯一の場所。沼津市井田の杜、いわば心の住処といえる。かけがえのない出会いとともに、深まる人生がある。